『抹殺の指名者』について
久しぶりにヤバイのが来た。
先月の『カクリヨノチザクラ』はそのイラストアドから注目を浴びたVジャンプ付録の特典カードでしたが、結局当初の予想通りデュエルで見かけることはあまり多くないカードに収まってしまいました。
近年で活躍を見せたVジャンプ発のカードといえば『サモン・ソーサレス』、『シューティング・ライザー・ドラゴン』、『E・HEROソリッドマン』、『トリックスター・キャロベイン』、『サブテラーの導師』などが存在し、様々なテーマやEXデッキの選択肢を増やしています。
とはいえ、昔と違って今のVジャンプは毎月何かしらの遊戯王カードを付属させているため、中には外れもあり全部が全部有能カードというわけでもない。
ただ、パック以外でカードを生み出す貴重な発行源であることは間違いないので、毎月デュエリストたちの関心は集まっています。
ただ、付録カードはそのどれもがモンスターカードだったのです。
その流れを断ち切るが如く登場し、なおかつとんでもない汎用性を兼ね備えたカードがついにVジャンプに付いてきてしまいます。
それがこの『抹殺の指名者』。
イラストに描かれているのはご存じ『抹殺の使徒』に描かれている甲冑を着込んだ騎士です。
・『指名者』と言えば
『指名者』なんて聞くと、遊戯王をプレイするプレイヤーならばすぐにあのカードを連想することでしょう。
そう、『墓穴の指名者』。
トーナメントシーンでも大活躍をみせるカードです。
相手の手札誘発を無効にしたり、墓地を対象とする効果にチェーンして除外させてしまったり、更には疑似的『エフェクト・ヴェーラー』なんて使い方もできてしまったりと超有能カードの一枚。
このカードの存在から『指名者』なんて聞くと「あ、もしかしてヤバイカードなのでは……?」なんて予想を立ててしまうデュエリストは多いはずです。
その予想は当たりました。
・『抹殺の指名者』のテキスト
では、『抹殺の指名者』の効果が出ましたので見てみましょう。
抹殺の指名者
速攻魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
①:カード名を1つ宣言して発動できる。宣言したカード1枚をデッキから除外する。ターン終了時まで、この効果で除外したカード及びそのカードと元々のカード名が同じカードの効果は無効化される。
※ややこしいとは思いますが、『デッキから除外する』は『(自分の)デッキから除外する』なので注意してください。
相手のデッキに触れる場合はその旨の表記がありますので、この場合は自分のデッキからです。
要は自分のデッキから任意のカードを除外し、その同名カードの効果をターン終了時まで無効化するというもの。
はっきり言います、クソ強いです。
すぐに思いつく用途としては『墓穴の指名者』同様手札誘発を無力化させる使い方。
昨今の遊戯王では『増殖するG』、『灰流うらら』、『エフェクト・ヴェーラー』などの手札誘発カードはほとんどのデッキに搭載されているため、自分のデッキ内にあるこれらを宣言・除外することで相手の手札誘発効果を打ち消すことができます。
ただ、『墓穴の指名者』と違う点は『無限泡影』を無効化することができるということ。
『墓穴の指名者』は相手の墓地のモンスターを除外するため、罠カードである『無限泡影』を無効化することはできません。
ですが、この『抹殺の指名者』ならばそれができてしまう。
このカードはモンスターだろうが魔法だろうが罠だろうが自分のデッキ内にありさえすれば無効にすることができてしまうため、無効にできる範囲がとても広いのです。
手札誘発だけではありません。他にも相手の使う汎用カードである『ハーピィの羽根箒』だったり、それこそ相手の『抹殺の指名者』にチェーンして上から無効にできてしまったりとその用途は多岐に渡ります。
他にも同系デッキ対決のミラーマッチになった場合、このカードは鬼神の如き強さを見せることでしょう。
うららやヴェーラーと違ってこのカードの無効の発動条件はほぼ無いに等しい。主要カードの効果発動に容赦なくチェーンして無効にしてくるのです。
無効にできるカードの枚数が増える分、必然的にこのカードはより強力になっていきます。
こんなの『禁止令』が速攻魔法になったようなもの。弱いわけないでしょ。
・総評
評価は9.5/10点
まだ世に出回った後ではありませんが、このカードは間違いなくトーナメントシーンで見ることになると思われます。
投入するならば2枚以上になるので、そこはデッキの空きスロットとの相談になりますが、様々な手札誘発に対応するためにデッキ内の手札誘発の種類をバラけさせたり、このカードで無効化されないようマイナーな手札誘発を積んだりと人によってデッキチューンが変わってきたりもしそうですね。
別にメインから入れなくてもサイド投入でもいいわけですし。
そういう意味では人の構築を見ることが面白くなってきそうです。
値段はVジャンプ代を下回ることはまずありえないでしょう。
高くなりがちなEX汎用カードと比べてもこのカードは複数枚投入必死。単純にその分需要が上がっていきますからね。
普通に四桁コースまっしぐらなカードです。デュエリストの皆さん、今月号のVジャンプは最低三冊は購入しておきましょう。
今月号は全プレで羽根箒の20thレアなんかも手に入りますよ。
それにしても『墓穴の指名者』同様先行展開の妨害を跳ねのけるカードが出て来たか……。
自分はあまり予想はしていませんが、『墓穴の指名者』の規制ももしかしたら…だなんて思ってしまったりもしますよね。